失語症

【言語聴覚士が解説】失語症のリハビリ全体像|5つの訓練方法

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失語症のリハビリというと、物の名前を言う「呼称訓練」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際の臨床現場では、症状やタイプに合わせてさまざまな訓練を組み合わせています。この記事では、言語聴覚士が行う代表的な5つの訓練方法をご紹介します。

言語聴覚士が行う代表的な5つの訓練

言語聴覚士と失語症のリハビリに取り組む高齢者
  1. 呼称訓練
    物の名前を言う練習です。喚語困難(言葉が出てこない症状)の軽減を目指します。実物や写真を見ながら「これは何ですか」と尋ね、ヒントを段階的に出しながら進めます。
  2. 音読訓練
    文章を声に出して読む練習です。文字を見る、読み方を思い出す、声に出すという複数の過程を同時に使うため、言語機能全体への刺激になります。短い文章から始め、徐々に長さを増やしていきます。
  3. 理解訓練
    話しかけられた言葉や文章の意味を正しく受け取る練習です。簡単な指示に従う、絵を選ぶなどの課題を通じて、聞く力・読む力を高めていきます。
  4. 書字訓練
    文字を書く練習です。漢字や単語を書く課題を通じて、書く力だけでなく、言葉を思い出す力も同時に鍛えられます。なぞり書きから始め、徐々に自分で考えて書く練習に進みます。
  5. 会話訓練
    実際の会話の流れの中で、伝える・聞く・やりとりするという一連の力を高める訓練です。日常生活で実際に使う場面を想定して練習することで、生活の中での活用につなげます。

失語症のタイプによる訓練の違い

失語症に対する5つの訓練方法を表す場面

失語症には、いくつかのタイプがあります。言葉は比較的理解できても話すことが難しい「運動性失語(ブローカ失語)」、流暢に話せても意味の通った内容になりにくい「感覚性失語(ウェルニッケ失語)」などです。運動性失語の方には発話を促す訓練を中心に、感覚性失語の方には理解訓練を重点的に行うなど、タイプによって訓練の組み立て方が変わってきます(出典:済生会「失語症(しつごしょう)とは」)。

訓練はどのように組み合わせるのか

これらの訓練は、本人の失語症のタイプや重症度に応じて、言語聴覚士が組み合わせて計画します。例えば、言葉を理解する力が保たれている方には会話訓練を多めに、言葉を思い出すことが難しい方には呼称訓練を中心に、といった具合です。訓練の内容は固定的なものではなく、回復の様子を見ながら定期的に見直されます。

ご家族ができること

専門的な訓練は言語聴覚士が担いますが、ご家庭でも呼称訓練や音読訓練の一部を取り入れることができます。本人の状態に合わせて、無理のない範囲で継続することが、リハビリの効果を支える大きな力になります。

まとめ

失語症のリハビリには、呼称訓練、音読訓練、理解訓練、書字訓練、会話訓練など、さまざまな方法があります。それぞれの目的を知ることで、ご家族も本人のリハビリをより深く理解し、サポートしやすくなります。

ABOUT ME
高橋
高橋
言語聴覚士
現役の言語聴覚士として、高齢者のリハビリに10年以上従事しています。回復期病院・デイサービス・老人保健施設での臨床経験をもとに、認知症予防に役立つ脳トレ情報を発信しています。「なぜこの問題が脳に良いのか」を専門家の視点からわかりやすく解説することを大切にしています。
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