【言語聴覚士が解説】失語症と認知症の違い|見分け方と対応のポイント
「言葉が出てこない」「会話がうまくいかない」という症状は、失語症でも認知症でも見られることがあり、見分けがつきにくいと感じるご家族は少なくありません。この記事では、それぞれの特徴の違いと、対応するときのポイントをご紹介します。
失語症と認知症、それぞれの特徴

失語症の特徴
脳梗塞や脳出血などによる脳の損傷で、言語に関わる部分だけが障害された状態です。考える力や判断力、新しいことを覚える力そのものは保たれていることが多く、発症も比較的急に起こります(出典:済生会「失語症(しつごしょう)とは」)。
認知症の特徴
記憶力・判断力・見当識(今がいつで、どこにいるかを把握する力)など、幅広い認知機能が徐々に低下していく病気です。言葉の症状だけでなく、日常生活全体に影響が及び、多くの場合ゆっくりと進行します(出典:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」)。
見分け方のポイント

発症の仕方を確認しましょう。失語症は脳卒中などをきっかけに急に症状が出ることが多いのに対し、認知症は数ヶ月から数年かけて徐々に進行するとされています。また、失語症では「言葉は出にくいが、状況の理解や判断はできている」ことが多いのに対し、認知症では言葉以外の記憶や判断にも広く影響が出やすい点が特徴です。同じ話を繰り返す、道に迷う、物をしまった場所を忘れるといった症状が言葉の問題と合わせて見られる場合は、認知症の可能性がより考えられます。
ただし、脳卒中後に認知症を合併している場合や、認知症の中でも言語症状が目立つタイプ(原発性進行性失語など)もあり、実際の判断は専門的な評価が必要です(参考:日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」)。
どちらの場合も大切な家族の対応
どちらであっても、急かさない、短く伝える、待つ姿勢を持つといった基本的な対応は共通して有効です。違いを見極めることよりも、今その方が困っていることに寄り添う姿勢が何より大切です。
気になる症状があれば
言葉の症状に気づいたら、自己判断せず、神経内科やもの忘れ外来、リハビリテーション科などの専門機関に相談しましょう。言語聴覚士による評価を受けることで、症状の特徴を整理し、適切な対応方法を見つけやすくなります。
まとめ
失語症と認知症は、どちらも言葉の症状が出ることがありますが、原因や経過には違いがあります。見分け方を知っておくことは役立ちますが、最終的な判断は専門家に委ね、ご家族はその方に合った寄り添い方を大切にしていきましょう。


