失語症のある方とのコミュニケーションでは、「何を話せばいいかわからない」「会話が続かずもどかしい」と感じるご家族が少なくありません。この記事では、言語聴覚士の臨床経験から、ご家庭で今日からすぐに使える7つの会話の工夫をご紹介します。
なぜ会話の工夫が必要なのか
失語症は、考える力そのものが失われるわけではなく、考えたことを言葉にする・相手の言葉を理解するという「言語化」の部分に障害が起こります(出典:済生会「失語症(しつごしょう)とは」)。そのため、話し方を少し工夫するだけで、驚くほど会話がスムーズになることがあります。
家族が使える7つの会話の工夫
- 短く、ひとつずつ伝える
一度にたくさんの情報を伝えると理解が難しくなります。「今日は病院に行って、薬をもらって、買い物もして…」ではなく、ひとつの文を伝え終えてから次の話題に移りましょう。
- Yes/Noで答えられる質問にする
「何が食べたい?」という開かれた質問は答えにくいことがあります。「お茶にする?それとも水にする?」のように、選択肢やYes/Noで答えられる聞き方に変えてみましょう。
- 急かさず、言葉が出るまで待つ
言葉を探している時間は、本人にとって大切な思考の時間です。先に言葉を言ってしまったり、急かしたりせず、数秒待つ姿勢を大切にしましょう。
- 絵や写真、実物を見せながら話す
言葉だけで伝わりにくいときは、カレンダー、写真、実物を指し示しながら話すと理解の助けになります。
- ジェスチャーや表情も手がかりにする
本人が手や表情で伝えようとしているときは、それも立派なコミュニケーションです。言葉にこだわらず、伝わったことをしっかり受け止めましょう。
- 「話せない」と「わからない」を混同しない
言葉が出にくいことと、状況を理解していないことは別です。子ども扱いするような話し方ではなく、大人として対等に接することを心がけましょう。
- うまく伝わったときは、はっきり伝える
「伝わったよ」「わかったよ」という反応を具体的に示すことで、本人の自信と会話への意欲につながります。
日々の積み重ねが会話の質を変えていく
これらの工夫は、一度で完璧にできるものではありません。ご家族自身も戸惑いながら、少しずつ慣れていくものです。うまくいかない日があっても自分を責めず、「今日はこれができた」という小さな成功を積み重ねていきましょう。
まとめ
失語症のある方とのコミュニケーションは、話し方のちょっとした工夫で大きく変わります。短く伝える、待つ、絵や実物を使う――どれも今日から始められることばかりです。無理のないペースで、ご家族のコミュニケーションを少しずつ整えていってください。
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ABOUT ME

現役の言語聴覚士として、高齢者のリハビリに10年以上従事しています。回復期病院・デイサービス・老人保健施設での臨床経験をもとに、認知症予防に役立つ脳トレ情報を発信しています。「なぜこの問題が脳に良いのか」を専門家の視点からわかりやすく解説することを大切にしています。