【言語聴覚士が解説】プッシング訓練のやり方|声を強く出す力を鍛える発声トレーニング
加齢や神経の病気の影響で、声が小さくなったり、かすれたりすることがあります。プッシング訓練は、のどの声帯を強く閉じる力を使い、声を出す力を鍛える訓練です。
プッシング訓練が効果的な理由

声を出すときには、左右の声帯がしっかり閉じることで、息の通り道が適度に狭まり、はっきりとした声が作られるとされています。声帯を閉じる力が弱くなると、息が漏れるような小さくかすれた声になりやすくなるとされています。プッシング訓練は、力を入れる動作と一緒に声を出すことで、声帯を閉じる力を間接的に引き出す訓練です。腕や体幹に力を入れる際、無意識に声帯も強く閉じる仕組みを利用しています(出典:西広島リハビリテーション病院「喉の筋力向上『プッシング訓練』」)。
プッシング訓練のやり方

椅子に座り、両手を前で組んで力いっぱい押し合います。その状態を保ちながら、「えいっ」というように短く力強く声を出します。これを5回程度繰り返します。慣れてきたら、壁を両手で押しながら声を出す方法や、椅子の座面を両手で押しながら声を出す方法も取り入れられます。
取り組む頻度の目安
1日1〜2セット、1セットあたり5回程度から始めるとよいでしょう。声のかすれ具合や体調を見ながら、無理のない範囲で継続することが大切です。効果を感じ始めるまでには個人差があり、数週間程度かかることもあります。
取り組むときの注意点
血圧が高い方や、心臓に負担がかかりやすい方は、強く力を入れることで体への負担が大きくなる場合があります。事前に医師や言語聴覚士に相談してから行うことをおすすめします。また、声がかすれる、出にくいといった症状が続く場合は、自己判断でトレーニングを続けるのではなく、専門的な評価を受けることが大切です。
日常生活での応用
プッシング訓練で鍛えた力の感覚を、実際の会話でも意識してみましょう。声を出す瞬間に少しお腹や体に力を入れることで、はっきりとした声を出しやすくなることがあります。
発声訓練全体の中での位置づけ
プッシング訓練は、声の大きさや明瞭さを支える基礎的な訓練の一つであり、呼吸訓練や発音練習と組み合わせて行われることが多くあります。声に関する気になる変化がある場合は、自己判断で訓練法を選ぶのではなく、言語聴覚士による評価を受けた上で、本人に合った訓練を組み合わせることをおすすめします。
まとめ
プッシング訓練は、声帯を閉じる力を間接的に鍛え、声の大きさや明瞭さを保つための訓練です。体への負担に注意しながら、無理のない範囲で取り組んでみてください。


