【言語聴覚士が解説】水分補給と脱水予防|嚥下障害がある高齢者の水分ケア
嚥下障害があると、むせることへの不安から水分を控えてしまい、脱水につながることがあります。この記事では、嚥下障害がある方の水分補給の工夫と、脱水予防のポイントをご紹介します。
嚥下障害がある方が脱水になりやすい理由

サラサラした水は、のどを通る速度が速く、嚥下機能が低下していると気管に入りやすいため、むせやすい飲み物の一つとされています。むせることを避けようとして水分摂取量そのものが減ってしまい、結果的に脱水につながるケースが少なくありません。高齢者はもともと体内の水分量が少なく、のどの渇きを感じにくくなっていることも、脱水のリスクを高める要因の一つと考えられています。
1日の水分摂取量の目安

個人差はありますが、食事以外での水分摂取量として1日1000〜1500ml程度が一つの目安とされています。公益財団法人長寿科学振興財団の「健康長寿ネット」でも、成人の飲料水からの摂取目安として1日1.5リットル程度が紹介されています(出典:健康長寿ネット「水は1日どれくらい飲めば良いか」)。ただし持病によって水分制限が必要な方もいるため、具体的な目標量は医師や管理栄養士に確認することが大切です。
脱水のサイン
口の中や唇の乾き、尿の量や色の変化、ぼんやりする、ふらつきやすくなるといった様子がみられたら、脱水の可能性を考えてみましょう。高齢者の場合、はっきりした自覚症状が出にくいこともあるため、周囲が様子の変化に気づくことが大切です。
むせにくい水分補給の工夫
水分にとろみをつけることで、のどを通る速度がゆっくりになり、むせにくくなります。とろみの濃さには「薄いとろみ」「中間のとろみ」「濃いとろみ」といった段階があり、本人の嚥下機能に合わせて言語聴覚士などの専門家に相談しながら調整しましょう。また、ゼリー状の水分補給用食品や、果物に含まれる水分を活用するのも一つの方法です。
水分補給のタイミング
のどが渴いたと感じたときだけでなく、時間を決めてこまめに水分を摂る習慣をつけることが、脱水予防につながります。食事の合間や、起床後、入浴前後など、生活の節目に水分を摂る機会を作るとよいでしょう。
食事からの水分摂取も意識する
スープや汁物、果物、ゼリーなど、食事の中にも多くの水分が含まれています。飲み物だけでなく、食事内容の中で水分を補う工夫も、無理なく水分量を確保する助けになります。
まとめ
嚥下障害がある方にとって、水分補給は誤嚥のリスクと脱水のリスクの両方に関わる重要なケアです。とろみなどの工夫を取り入れながら、こまめな水分補給を心がけていきましょう。


