【言語聴覚士が解説】とろみ・刻み食の使い方|誤嚥を防ぐ食事形態の工夫
嚥下機能が低下してくると、普段と同じ食事でもむせやすくなったり、食べ物が飲み込みにくくなったりすることがあります。そうした場合に役立つのが、とろみや刻み食といった食事形態の工夫です。この記事では、それぞれの特徴と使い方をご紹介します。
なぜ食事形態を工夫する必要があるのか
水やお茶のようにサラサラした液体は、のどを通る速度が速く、飲み込みのタイミングが合わないと気管に入りやすくなるとされています。食べ物の形やまとまりやすさを調整することで、のどを通過する速度をゆっくりにし、誤嚥のリスクを減らすことができます。
とろみについて

水分に「とろみ剤」を加え、液体に適度な粘度をつける方法です。とろみをつけることで、口の中でまとまりやすくなり、のどを通る速度がゆっくりになるとされています。とろみの濃さは「薄い・中間・濃い」など段階があり、本人の嚥下機能に合わせて調整する必要があります。この3段階の分類は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が定める「嚥下調整食学会分類」に基づくもので、全国の医療・介護現場で共通の基準として使われています(出典:日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食学会分類2021」)。濃すぎても薄すぎても、かえって飲み込みにくくなることがあるため、専門家の評価を受けて適切な濃度を確認することが大切です。
刻み食について

食材を細かく刻んで、噛む力が弱い方でも食べやすくする調理方法です。ただし、刻むことで食材がバラバラになり、口の中でまとまりにくくなる場合があります。そのため、刻み食にはとろみやあんをかけて、まとまりやすくする工夫が合わせて行われることが多くあります。刻み食はかえって誤嚥を招きやすい面もあるため、噛む力は保たれているが飲み込みに不安がある方には、形を保ちやすい「やわらか食」が選ばれることもあります。
食事形態を選ぶときの注意点
食事形態の調整は、本人の嚥下機能の状態に応じて個別に判断する必要があります。自己判断で極端に形態を変えるのではなく、言語聴覚士や医師、栄養士などの専門職に相談しながら、本人に合った形態を見つけていくことが大切です。
ご家族が気をつけたいポイント
食事の様子を見て、むせの頻度や食べるのにかかる時間の変化に気を配りましょう。形態を変えた後も、食べる量や表情の変化を観察し、無理なく食事が続けられているかを確認することが大切です。
まとめ
とろみや刻み食は、嚥下機能が低下した方の食事を安全にするための大切な工夫です。本人の状態に合った形態を専門家と一緒に見つけ、安心して食事の時間を過ごせるようにしていきましょう。


